サッカースパイクを購入するとき、HG、FG、AGなどの違いが気になったことはありませんか?
例えば「プレデターフリーク.1 HG」のようにスパイクの正式名称の末尾に「HG」と記載があったり、スパイクが安売りされていると思ったら、「FG」だったりと、その記載を気にかけたことがある人は多いでしょう。
また、「HG」「FG」の名前の由来は知っていても具体的に「どのようなグラウンドで履いていいのか?」「誤った使用方法をしてしまうとどのようなリスクがあるのか?」については分からないという方もいらっしゃると思います。
本記事ではそんな方のためにサッカースパイクの「HG」「FG」「AG」の意味から、使用する際の注意点までを解説していきます。
HGとは
HGとは「Hard Ground」の略称です。その名の通り硬い土のグラウンドで使用するために作られたサッカースパイクのことです。
日本のアマチュアカテゴリーのサッカーグラウンドは海外とは違い土のグラウンドであることがほとんどです。そのため、日本では最も生産量が多く販売されているスパイクがHG型のスパイクとなります。
HGの特徴
硬い土のグラウンドは反発が大きいため足腰に非常に負担がかかります。そういった身体にかかる負担を軽減するための工夫がスパイクに施されています。
工夫点としては「丸型のスタッド」が多く、「スタッドの高さが低く」調整されています。
また、スタッドの本数が多いほうが足裏の設置面積が広く、負担が軽減されるため、スタッドの本数も「多め」に設定されています。
また、土のグラウンドはスパイクへの負担も大きくなり、スパイクの故障に繋がりやすいため、軽さよりも「耐久性」を意識して作られていることが多いです。
HGスパイクを人工芝や天然芝のグラウンドで使うことは可能?
HGスパイクを人工芝や天然芝のグラウンドで使うことは、結論「可能」ですが、「高いパフォーマンスを発揮することは難しい」と考えます。
理由としては、スタッドの長さが「短め」に作られているため、スタッドの芝生への刺さりが甘く滑ってしまうリスクが高くなります。
そのため、ドリブルの際に切り返しがうまくいかなかったり、ディフェンスの際に足を滑らせて、相手に抜かれてしまうなどのプレーに繋がってしまう可能性があります。
また、中高生ではありがちな「練習は土のグラウンド」「試合は人工芝のグラウンド」の場合、土で使用してスタッドが擦り減ったスパイクを人工芝グラウンドで使用すると、あまりよくないですね。
擦り減ったスタッドは全然芝生に刺さらないため、ズルズル滑ってしまいます。
そういったことが起きないように「土用と芝生用でスパイクを分ける」といった工夫が必要になります。
FGとは
FGとは「Farm Ground」の略称であり、天然芝用のアウトソールとなります。
FGの特徴
天然芝のグラウンドは土のグラウンドと比較して、塗れていたり緩くなっていたりすることが多く、非常にスリップしやすいです。
そういったグラウンドでもしっかりとグリップを効かせ、滑らないような工夫をして作られているのがFGスパイクとなります。
スタッドの特徴としては「丸型」よりも「鋭角」に作られていることが多く、これが滑らないための工夫となっております。
またスタッドは「長く」、本数も「少なめ」に作られています。
天然芝のグラウンドは負担が少ないため、耐久性を意識する必要がなく、モデルの中でも「最軽量」モデルのスパイクはFGであることが多いです。
FGスパイクは土のグラウンドや人工芝のグラウンドで使用可能?
FGスパイクは土のグラウンドでは使用しないほうがいい
結論、FGスパイクは土のグラウンドでは「使用しない」ことをお勧めします。
土のグラウンドでは反発が大きいため、
耐久性を意識しないで作られているFGスパイクを使用してしまうと過剰な突き上げを受けてしまい、スパイクの破損や怪我に繋がります。
FGスパイクは人工芝のグラウンドでは使用しないほうがいい
結論、FGスパイクは人工芝のグラウンドでは「使用しない」ことをお勧めします。
何故ならば、人工芝グラウンドはグリップが効きやすい特徴があるため、そういったグラウンドでFGスパイクを使用すると
「グリップの効きやすいグラウンドで更にグリップの効きやすいスパイクを履く」
ということになってしまいます。
ここだけ聞くと「え?滑らなくていいじゃないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
むしろその逆です。過度にグリップが効きすぎてしまうことで
- グリップが折れてしまう
- スパイクのアウトソールが剝がれてしまう
- 足首や膝に過度に負担がかかり過ぎて怪我に繋がってしまう
といったようなリスクがあります。
そのため筆者は人工芝グラウンドでFGスパイクを使用することは基本的におすすめしません。
AGとは
AGとは「Artificial Ground」の略称であり、人工芝用のアウトソールとなります。
AGの特徴
人工芝グラウンドは、天然芝グラウンドと比較してグリップがかかりやすい(滑りにくい)というのが特徴です。
そのため人工芝用グラウンドのスタッドは「丸く」「短く」作られており、過度にグリップが効きすぎないように調整されています。
また「刺さりやすく」「抜けやすい」という特徴を満たすためにHGスパイクよりもスタッドは「高く」作られています。
AGスパイクは土のグラウンドや天然芝のグラウンドで使用可能?
土のグラウンドでは使用しないほうがいい
AGスパイクは土のグラウンドでは使用しないことをお勧めいたします。
背景として、AGスパイクはHGスパイクよりもスタッドが高く、耐久性を意識しないで作られています。
そのため、土のグラウンドの反発の影響を強く受けてしまうため、
- スパイクの破損
- 足首や膝の怪我
- 腰の疲労骨折
などに繋がってしまうリスクがあります。
天然芝のグラウンドでの使用は可能
AGスパイクを天然芝のグラウンドで使用することは可能です。
FGよりも引っ掛かりが弱いため、足腰への負担を減らし、安全に着用することが可能です。
実際にネイマールなどのプロサッカー選手も天然芝のグラウンドでAGスパイクを使用していたという事実もあります。
ただ、滑りやすい天然芝のグラウンドではグリップが弱く、AGスパイクでは滑ってしまう可能性もあるため、グラウンドのコンディションによってAGスパイクを使用するのか、FGスパイクを使用するのか判断することをおすすめいたします。
最近よく見かける「FG/AG」というのは?
「FG/AG」表記のスパイクは、基本的には天然芝用のアウトソールになりますが、人工芝グラウンドでの使用も可能なサッカースパイクのことです。
「HG」ソールのスパイクと比較して、スタッドが細く、長く、本数は少なめに作られているため、天然芝のグラウンドに引っ掛かりやすく、優れたグリップ性を発揮するというのが特徴です。
そのため、人工芝の中でも
- 人工芝が長く、上に立っているグラウンド
- 新しく出来たばかりの人工芝グラウンド
では「FG/AG」ソールのスパイクは優れたグリップを発揮します。
一方で
- テニスコートのような硬く短い人工芝
- 古く、パイルが寝てしまっている人工芝
- ゴムチップが丸見えの人工芝
ではグリップが効きすぎてしまい膝や足首の故障の原因やスパイクの破損に繋がる恐れがあります。そのためそういった場合では「HG」や「AG」ソールの使用をおすすめ致します。
HGスパイクが万能
これまでの説明を表にまとめると以下のようになります。
スパイクの型 | 土のグラウンド | 人工芝のグラウンド | 天然芝のグラウンド |
---|---|---|---|
HG | 〇 | △(滑りやすい) | △(滑りやすい) |
FG | ×(怪我のリスク) | ×(怪我のリスク) | 〇 |
AG | ×(怪我のリスク) | 〇 | 〇 |
対応の範囲を見るとHGスパイクは全てのグラウンドに対応しているため、万能ですね。
部活動などでメインの活動拠点が土の選手はもちろんのこと、人工芝でプレイする機会が多い方も一足でも持っておくといいかもしれませんね。
グラウンドに合ったスパイクを着用してハイパフォーマーになろう
皆さん、いかがでしたでしょうか?
それぞれのスパイクには明確な特徴がありましたね。万能なスパイクとしてはHGを紹介しましたが、人工芝のグラウンド、天然芝のグラウンドで高いパフォーマンスを発揮しようと思うとHGスパイクだけでは物足りないというのが正直です。
高いパフォーマンスを発揮するためにはそれぞれのグラウンドに合ったスパイクを用意して試合に臨むことが大切だと思います。
1万円程度のスパイク購入をもったいぶって、思入れのあるスパイクを壊してしまったり、怪我で青春時代を棒に振ってしまっては本末転倒ですよね。
本記事を読んだ皆様も思いきって全種類のスパイクを買ってみてください!